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2018.08.27 最終更新
研修生

仮想通貨で給与を受け取りが可能か?実際の賃金支給事例とその法的問題を徹底解説

仮想通貨,給与

仮想通貨が法定通貨をおきぬき未来の正式通貨になる日も近いといわれています。
そんな仮想通貨ですが、既に給料を仮想通貨払いでしている企業も存在しています。
この記事では給与を仮想通貨?と思った人の為に未知の世界をこの記事で紹介していきます。

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仮想通貨の世界は、とかく投資や投機など、大きな話になりがちです。Bitcoin ETFなど投資の話題ばかりが目立つ中で、そもそも仮想通貨のあるべき姿、つまり通貨として流通することについて少し考察してみましょう。

2017年までは確かにあった、仮想通貨の買い物や決済で仮想通貨を利用するニュースは、(本来の仮想通貨のあるべき姿ですが)最近ではあまり報道に出てこないきらいがあります。

今回は、賃金支払関連での仮想通貨利用についての事例をいくつか先にご紹介し、それから法的な面での考察をしていきましょう。

2013-2015年ごろの欧州での事例

仮想通貨,給与
まず、かなり前の(2014年の)話ですが、アイルランドのとある企業が、スタッフへの給与をビットコイン建てで支払い開始を公表しました。

このニュースが報道された段階では、この企業では僅か数名の仮想通貨関連スタッフに対しての賃金支払いにすぎず、規模もあまり大きな話ではなかったですが、それにしても給料をビットコイン建てで賄うというのは当時かなり珍しく、世界的に注目を浴びました。

さらに古いところでは、とあるデンマークの開発プロバイダー企業は、2013年3月にビットコイン建てで賃金支払いをはじめたとの報道が当時ありました。

ただ、当時のこれらの国での所得税関連の課税ではこれが合法だったのか否かは不明で、腑に落ちません。

ご存知の通り、多くの国においては賃金支払について、法律で定める「法定通貨」での賃金支払いが雇用者に求められ、上記のケースでは代わりに「物品」で受け取ったという扱いになり、後述しますが違法性を問われかねないからです。

隣国のドイツではかつて、このようなニュースもありました。同国の雑誌「t3n」が、スタッフに対して賃金の一部をビットコインにて受け取れるようなプランをオファー(数年前の話です)。

アメリカ発のスタートアップPEYとコラボレーション、およびBitpay(ビットペイ)というビットコイン決済サービス提供企業と組んでの試みです。

同雑誌は、ITやテクノロジ関連の理系雑誌であり、スタッフのビットコイン保有、また運用についての経験が高まることは雑誌にとっても良いことだとし、自社での実験として開始したとのことです。

同社の給与体系の変更について、責任者は、新テクノロジへの興味や関心を常に抱く社風のため、まずは自分たちが実践することで、より多くのビットコイン利用者が増え、日常のマイクロペイメントで前向きに使用してもらえるようにと考えて実施したとブログにてコメントしていました。

ちなみに、この報道のあった2016年当時ドイツではビットコインは法定通貨であると認定されてはいません(おそらく多くの国でそうだとは思いますが)ので、この雑誌社のようにスタッフがビットコイン建てで賃金を受け取れば、ある面では非課税になるとも解釈ができます。(もちろん税務当局は異議を申し立てると思いますが)

2014-2015年は、これらに続き、欧米のさまざまな会社で仮想通貨での賃金支払い計画のニュースが飛び出し、話題となりました。社員の判断によるフィアット(法定通貨)と仮想通貨の比率を自由に選択できるという会社が多かったのが注目を浴びました。

2015年にはほかに、EU圏で給与を仮想通貨経由で支払いができるサービスも登場していました。ビットコイン関連サービスを展開する「Cashila(カシーラ)は、企業体内で雇用者と職員間のペイロール関連で、金融機関を経由した決済のうち、一部をビットコイン経由で決済させる「Bitwage(ビットウェイジ)」というサービスを発表し、大きな話題となりました。

カシーラは欧州のEU圏内仮想通貨からEURへのSEPA決済処理ができる免許を保有(当時)しました。

本サービスは、支払い側の決済は複雑ではなく、ごく一般的な事務処理で済みます。一方の給与を受け取る側は、同社サイトで報酬支払請求書類を作ればよいだけです。

その後、そのインボイスないし請求書をメール経由で雇用者に送付することで、支払いが実施されるとのことです。

Bitwageと紐付いた銀行の給与振込口座が用意されて、そこへカシーラが賃金支払いの口座とBitwage決済プロセスを経て入金を行うというわけです。

ここで気をつけるべきは、仮想通貨で受け取るのではないと言うことで、雇用主からの発送は仮想通貨ですが、届いてすぐにその時点のレートでのEUR(ユーロ)に変換される点は(合法性という意味からも)重要です。

このように迅速にフィアット(法定通貨)に換金することで、数日間のスパンでも馬鹿にならない(と思われている)仮想通貨の大きなボラティリティの弊害を避けることができます。

このサービスは、仮想通貨を途中にかませているのみで、最終的には法定通貨であるユーロで受け取っており、本当の意味での「仮想通貨の給与」ではない点がポイントです。

仮想通貨を経由して最終的にはフィアットを受け取るのでなければ、EU圏では法律的に問題があるのかもしれません。

フリーランサーが海外(欧州)のクライアントに納品して支払いを受ける場合、EU圏内に自分の銀行口座を持っていなくても、さらに自国への海外送金を要求しなくてもよく、仮想通貨建てでの決済を受ける可能になります。

いずれにせよ、欧州のクライアントを相手に仕事をしている外国フリーランサー、ユーザにとっても自国送金する時には非常に助かるサービスだと言えるでしょう。

米国の大企業等での事例

さて、ある企業がBitcoinで賃金を従業員に支払うことの理由のひとつは、その企業が才能ある、先進的な人材を保持し、さらに引きつけやすくなることだと言われます。

米国のDeloitte Consulting LLP(デロイト・コンサルティング)では、スタッフと外部調達ITプロフェッショナルに対する賃金をビットコイン建てで支払うことで、優秀で将来性のある人を惹きつけることができると考えています。

支払いの決済処理サービスBitPay(ビットペイ)によれば、スタッフの半数以上が、賃金の全額ビットコイン支払いを期待しているとのことです。

同社での週給方式のスタッフは、毎週ビットコイン建ての賃金を週給で受け取ることが出来ており、このような賃金方式により経済感覚も向上し、むしろモチベーションが高まったという声が多く聞かれているそうです。

その他、仮想通貨取引所の大手「コインベース」においても、スタッフの3~4割が賃金の一部をビットコインで受け取れるようになっています。

あるフィンテック企業は、スタッフのボーナス部分を仮想通貨で受け取るという提案を職員に行ったことがありますが、責任者によれば、実は仮想通貨建ての給与支払いは銀行経由よりも合理的でコストも安くなるとのことです。

ただし、同社では大幅なコスト削減というよりもスタッフのモチベーションを高めるための、スタッフ主導型オプションとして扱われているようです。

スポーツ界での事例

先進的な人材を保持し、また引きつけやすいという意味では、最近の事例で、欧州・Gibraltar(ジブラルタル)にあるサッカーチームが、選手への報酬を仮想通貨建てで支払うという計画がそれに当たるでしょう。

英国海外領土・ジブラルタルのサッカーチーム「ジブラルタル・ユナイテッド」が来季より選手への報酬をジブラルタルの通貨のほかにも仮想通貨で決済する計画を発表しました。

このようなサッカー選手への報酬支払いシステムが正式にローンチすれば、サッカー界では初めての案件となります。

外国籍の選手が海外サッカーチームに入っても、すぐに現地銀行で口座を開くことができず、時間がかかります。

そんな中でも仮想通貨建てで遅滞なく報酬を受け取れるなら、とても便利で簡単であり、これによって確かに先進的な選手を引きつけやすくなると考えられます。

ジブラルタル・ユナイテッドのオーナーによれば、他のスポーツ界ではすでに仮想通貨の利用例が見られるとのことです。

さて、サッカーと仮想通貨・報酬と言えば、今年、日本の「GMOコイン株式会社」は、J3リーグのFC琉球とクラブパートナー契約を締結しました。

GMOコインがスポンサーとなり、7月初旬の特別協賛試合において、先制ゴールを決めた選手にはGMOから賞金1BTCが贈られました。

サッカー業界ではこれ以外にも、英国のアーセナルFCが、オンライン・賭博サイトとのスポンサー契約を交わしました。

トークン(仮想通貨の一種)「CashBet Coin」が、プレミアリーグのホーム戦で広告が掲載されるほか、このCashBetがICOを行う際には、アーセナルFCの名義を使用できるようになります。

中米コスタリカの事例

欧米以外でもこの流れは起こっています。2018年、中米のコスタリカでは、法の変更により、国内の一般企業がスタッフへ通貨以外に物品などを賃金の代わりとして提供することが合法になりました。

専門家らは、この法改正によりフィアット(法定通貨)以外のモノは、おそらくは仮想通貨も該当するとみなしています。

最低賃金部分は法定通貨で支払うとの条件が守られる限り、それ以外については代替物で支払うことも認められました。

コスタリカの法律ではBitcoin等も決済手段のひとつとして認められる(と解釈できる)わけです。

この流れはコスタリカ内で定着し、自社職員に対して、積極的に暗号(仮想)通貨建ての報酬を選ばせるよう求める経営者も増えていくのではと見られています。

ただし、コスタリカではまだ正式に仮想通貨を正規な決済手段とはしていません。

ここで余談ながら、給与とは別ですが、アメリカでは大学生の奨学金や学生ローンを使って仮想通貨に投資している人が、対象者の20%もいたという報道があり、話題になりました。

運用して早く金を返済したいと、積極的にトレードしている学生が多いのだそうです。

米国「Student Loan Report」が実施した調査によれば、21.2%の大学生が、ローンを使って仮想通貨に投資していたとのことです。

学生ローンで借金し、仮想通貨の投資で儲けようという考えが学生のレベルで出てくるとは、なかなか先進的で面白いといえますが、日本ではとても考えられません。

※素人が甘い考えで不安定な市場にローン資金(借りた金)を投入すると全部溶かし、債務が増加、ないし破産に陥る恐れさえありますので、決して読者は真似しないでください。

いずれにせよ、海外では幅広い市民に仮想通貨が認識され、給与受け取り、投資、支払いなど仮想通貨を利用する選択肢が欧米を中心に進んでいるのです。

法的な問題について(米国)

仮想通貨,給与
ここまでご紹介した幾つかの事例を見ると、何やら非常に良さそうな印象がありますが、しかしその一方で、法律の問題があると思います。後半はその点を考察したいと思います。

まず、アメリカ合衆国の法律について軽く触れておきます。

アメリカ合衆国で行われるこのような「仮想通貨建て」の賃金支払には、法的にいくつかのポイントがあり、これらを意識して行う必要があります。

まず、同国の法律では、賃金支払は現金、または小切手での支払いを定めています。公正労働基準法があり、すべての雇用者は賃金支払いの際にこれに従う必要があります。

アメリカ合衆国公正労働基準法には、「最低賃金の一部」と「超過勤務手当」について、被雇用者に「現金ないしチェック(小切手)で支払われるべきである」と明記されています

アメリカ合衆国公正労働基準法に「ビットコインで」とはどこにも書いていませんので、「全額をBitcoinで支払い」というのは、連邦法では違法行為になってしまいます。

しかし「最低賃金と超過勤務手当」以外であれば、アメリカ合衆国内では雇用者と被雇用者の同意のもとに、支払い形態は上記(公正労働基準法に書かれた内容)でなくてもよいと解釈ができるでしょう。

少なくとも理論上、その賃金の一部を現金もしくは小切手で支払い、それ以外については、フィアット(米国の法定通貨)ではなく仮想通貨でも支払えるはずです。

しかしながらアメリカ合衆国では連邦法以外にそれぞれの州の「州法」が存在し、実情は二重行政になっているため、問題は簡単ではありません。

皆さんがニュースなどで聞いたことがあるであろう「矛盾」は、「マリファナ問題」でしょう。アメリカ合衆国では連邦政府が定める法律(連邦法)では違法なのですが、ある州によっては(州法で)は合法とされているのです。

いくつかの州では、「賃金はすべてをアメリカ合衆国の法定通貨つまりUSドルのみで支払うこと」と州法で定められています。

まり、この州では外貨や仮想通貨の支払いでは違法になるということです。なかなか難しい問題です。

法律の問題をクリアしたとしても、ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格は半日で数パーセント以上動くのは日常茶飯事で、ボラティリティが大変大きいものです。

仮想通貨建ての賃金を代替物だとして与えた結果、大暴落などを起こし、当初はスタッフが「そのリスクは承知している」と言っていたのに、大損をしたら豹変して、損失を被ったとして会社を訴えることがないとも言えないでしょう。

付け加えると、クラウドソーシングなどでリモートワーカーが海外に住んでいる場合、お互いの国の税制の違いがあり、トラブルにもなりやすいでしょう。

そう考えると、単純に賃金を仮想通貨建てにしてポンと与えるわけにはいかないようです。

日本における仮想通貨での賃金支払いの事例

次に、日本のケースを見てみましょう。

日本の大手企業、GMOインターネットグループは、2017年暮れより同社スタッフ給与の一部を天引きの上、それ(1万円相当~最大10万円相当)をビットコインに替えて支払うことを開始しました。

GMOでは、このビットコインによる給与の部分的受け取り制度を実施することで、スタッフが仮想通貨リテラシーを高め、全社的なレベル向上を狙えるとしています。

BTC積立ならロングホールド(長期保有)して将来的に高騰すれば、かなりのリターンが得られる可能性があります。

GMOインターネットグループ提供の資料によれば、希望する職員は定額を設定し、その金額分が実際の給与から天引きされてGMOコインのアカウントにBTCで入るということだそうです。

追加ですが、日本のアイドル集団「シンデレラアカデミー」が2018年1月に結成した「仮想通貨少女」というグループがあります。

このアイドルグループはユニークなことに「数ある仮想通貨の中で、未来あるコインを選び、正しい知識をエンターテイメントで広めるユニット」を標榜しており、メンバー一人ひとりにそれぞれ属性のコインが割り当てられています。仮面をしているので、顔はよく見えません。

このグループのメンバーらは「私たちのお給料は仮想通貨で頂いてます」と公表しています。「時代は仮想通貨へ」というキャッチフレーズのもと、仮想通貨少女のライブ入場料、物販などはBTCやETH建ての仮想通貨決済だと言われています。

そこからの給与なのか、実際のどの通貨でどのような形式で行われているのか不明ですが、これが事実だとすれば、立派な日本での「仮想通貨による給与支払いの事例」と言えるでしょう。

日本の法律下での仮想通貨賃金支払いの妥当性

さて、日本国内でGMOインターネットグループや仮想通貨少女の例のような、スタッフ賃金の一部を仮想通貨で与える制度が実際に運用されたとして、これが従業員(アイドル本人も含む)にとって、さらに雇用主にとっても本当に良い制度なのでしょうか。

GMOインターネットグループの制度をみると、「本人の申込金額分が給与から天引きされ、その分がビットコイン購入にあてられる」となっています。

その後、購入されたビットコインが、「GMOコイン」に開設されたスタッフ本人のアカウントへ入金されるということです。

GMOは日本国内の企業ですから、必ず国内法を遵守する必要があります。当然ながら日本の労働基準法がそれを規定しています。

我が国の労働基準法の第24条によれば、従業員(被雇用者)の賃金は、必ず通貨(日本円)で、直接被雇用者の得るべき労働の対価その全額を支払う義務が雇用者にあるわけです。

しかし、ここには但し書きがあり、何らかの「労働協約」のいずれかが両者間に存在し、そこでお互いが約束事を取り交わしているケース、あるいは我が国の「厚生労働省令」で定めています。

給与(法令では賃金と表現)について、それがある種の確実な支払方法によって、国の法令で規定する場合であれば、我が国の通貨(日本円)以外での賃金の支払いが可能であると表現されています。

詳細については労働基準法の原文をご確認ください。

さらに、日本の法令のいずれかで別規定がある場合や、その職場に属する労働者が半分以上参加している労働組合が存在するなら(もしも労働組合がないならば、その職場に属する労働者の過半数の代表者となれる人が雇用者と特定の協定を書面で結んでいるなら)、従業員の賃金の一部は控除されて被雇用者当人へ支払われることも可能になります。

さらに、この条文には、被雇用者の賃金は毎月1回またはそれ以上の頻度で定期的に(つまり日給、週給のような形式で)支払われることを求めています。

いわゆる臨時賃金や、ボーナスやそのような特別のものについては、必ずしもそうしなくても良いという補足が明記されています。

ここで強調されるのは頻度などの原則についてですが、その他の原則についても例外が認められると解釈可能になります。

つまり給与としてビットコインを出すのは、いわゆる「法定通貨建ての原則」と「全額払い」という大原則に合わないのではないかと思われます。(回数については不明です)

とはいえ、労働基準法では別条にて例外があることも(一部)認められており、例えば食事代や社宅家賃補助などの提供については(基本給でない部分)、法定通貨つまり「日本円」でなくとも支給が可能だとされます。ここでは「臨時の賃金」というものの存在について、以下を確認してみましょう。

雇用主は、常に10人以上のスタッフを使って業務を行う場合は、そこで臨時の賃金以外の賃金の決定とその方法、 締め日や昇進などする方法の改変など、さらに「臨時賃金」、最低賃金等の決定を行う場合の関連事項などの事項について「就労の規則」を作成し、これを当局に届け出る必要があります。

このような内容が法令に明記されていますので、これに従うことにより、合法的かつ労使双方の合意のもとに、基本給ではなく特別な「臨時賃金」という形で、あるいはビットコインでのお給料の一部支給も可能になるように解釈ができると思われます。詳細については、労働基準法の原文をご確認ください。

ということで、おそらくは上でご紹介した日本国内の2例も、類似の方式で行われているのだと推測できます。

一度日本円で全部与え、そこから天引きで仮想通貨を会社が買い、本人に与えるという形は、よく考えてみれば、一般企業でも天引きによる財形貯蓄、職員・役員持株会などが行われています。

これらはみな、スタッフからの自発的な申請により、毎月の給与からの天引き額を設定し、対象金融商品を買い続けるわけです。

そう見れば、GMO社の事例も「いったん全額を日本円で支払い、本人の希望によってその一部がビットコインになり、会社経由でビットコインを受け取っている」ということになります。これならば、問題は無いでしょう。

しかし、例えば「新時代アイドル★BTC88TOKYO」などという芸能グループで(フィクションです)、「給与は全部仮想通貨です!1円も現金をもらっていません。

契約書も「月給は0.5BTCで、毎月末に会社のアドレスで保管される」となっています」と公表したら、とたんに労働基準監督署が飛んでくるでしょうね。

なにしろ上記が事実なら「基本給を日本円で出していない」という点でもうアウトです。「天引きにしている」と言う言い逃れも後付けだとみなされるでしょうし。

直接支払いをしていない(会社のアドレスで保管)ので、違法行為になってしまいます。海外ではいざしらず、日本国内では成り立たちません。

さらにもう一点、労務関係ではなく、仮想通貨そのものの法律も見逃すことはできません。仮想通貨への税制がご存知のように施行された今、仮想通貨を積極的に運用していなくとも、本人が仮想通貨を保有した結果、価値が上がっていれば、十分に課税の対象になります。

今持っている仮想通貨を他の仮想通貨へ両替(例えばビットコインをイーサリアムにする等)したり、その仮想通貨を利用して物を買ったりすると、その時点で住民税および所得税を考えなくてはなりません。

持っている仮想通貨が赤字になるならその必要はありませんが、運良く価値が高まっていき、プラスになった場合には、その値上がり益が課税対象となります。一年間で20万円以上の利益があった場合はこれについて「雑所得」として確定申告しなくてはなりません

一種類を単純に長期保有しているだけなら、まだ申告も容易ですが、いろいろと売買したりしていたなら、これをきちんと書き出して申告することは非常に苦労します。

仮想通貨をいつ、何の種類で、幾らのレートでどれだけ買ったのか、それらをいつ、いくらで売却し、その分について売却益はどれだけ出たのか。正確にそれぞれのトレード損益をリストし、包み隠さず申告しなくてはなりませんので、この手間は生半可ではありません。

上記のGMOの社員の皆さんが税引後給与として支給され、それだけを単純に積立続けて長期保有している分には、何も申告は必要ありませんが、いずれかの時点でそれを売却したり、他のコインに両替(トレード)したりした途端に、このような煩雑な確定申告のことを考える必要が出てくるわけです。

最後に、収入、という点で考えると、この「給与所得」が合法であるなら、次には「源泉徴収」の問題が出てくるはずです。

収入が発生し、それに伴う源泉徴収の実施時期は、一般の法定通貨による給与支払いと同じく、支給日当日に実施されなくてはなりません。

一般的には、契約や慣習、株主総会決議等で支給日が決められているものについては、その支給日に、支給日が不定の場合は支給を受けた日になります。

さらに源泉徴収額は雇用者が日本円で源泉徴収した金額を納付しなくてはなりません。スタッフに出したビットコイン給与(これが合法だとして)を、その時点での日本円の価値を計算する必要が発生します。

所得税法のきまり従い、支給日当日(原則として)の相場(この場合はBTC-JPY価格)に基づいて日本円に換算することになります。

さらに、年度の最後にある恒例の「年末調整」があります。源泉徴収ではビットコインもすべて日本円に換算するため、もし仮想通貨建てで受けた給与は、以後すべての申告で換算して記載しなくてはならず、一言でいって「面倒そのもの」です。

それでもビットコインで欲しい、出してやりたいという雇用関係ならばいいですが、一方からの要求ではとてもこれを実現する会社は多くは出てこないでしょう。

今後の仮想通貨賃金支払いの普及は

仮想通貨,給与
実際、日本国内で仮想通貨建ての賃金支払いを行える企業はあっても数えるほどでしょう。ただ、将来的な仮想通貨の普及を考えるとき、IT企業やスタートアップでは、少しずつこのスタイルを採用する所は増加していくと予想されます

いつの日か、日本の法律もその社会の流れに合わせて修正されるのかもしれません。

さらに、近未来には「違法かどうか」不明ながら、完全に仮想通貨(クリプトカレンシー)だけで労働し、それだけをもらい、それのみでやり取りする「村」や「コミュニティ」が、「企業」という形でなく、「個人間」で出来上がり、それだけで完結する経済圏が出現するかもしれません。純仮想通貨経済圏と呼べるのかどうかわかりませんが、興味深いところではあります。

最終更新日:2018年08月27日

【この記事を書いた女子会メンバー】

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