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2018.08.27 最終更新
研修生

ブロックチェーンが行政に果たす役割とは?色々な視点から考えてみた

行政,ブロックチェーン

ブロックチェーン技術が役立つのは仮想通貨の世界だけではありません。金融はもちろん行政においてもその正確性と透明性が役立つと言われ多くの国家が開発に乗り出しています。各国の取り組みを紹介していきます。

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ブロックチェーンの技術は仮想通貨の世界だけでなく、行政における手続きや記録、選挙などのあり方を大きく変えつつあります。ここ日本では非常に遅れている分野ですが、世界ではエストニアを始め国の根幹システムとして機能している政府もあります。

ブロックチェーン技術の何がアドバンテージなのか

行政,ブロックチェーン
まずブロックチェーンの優れた点を確認しておきましょう。ブロックチェーンは分散型台帳と呼ばれる技術です。これまでのような特定の管理者がデータもシステムも管理、運用することができる中央集権的な技術とは根本的に成り立ちが異なります。

ブロックチェーンの分散型台帳がなぜ優れているのかというと、不正を働くことが非常に難しいからです。これまではデータを管理している組織なり人なりが、恣意的な操作を行いお金を動かしたりデータを改ざんしようと思えば可能でした。

管理する権限が特定の人にしか与えられておらず、そのデータや取引の正当性は、管理する企業や担当者の信用に依存していました。

しかし、ブロックチェーンは特定の管理者によって運営されているわけではありません。ネットワークに連なる膨大なコンピューター全体でデータの正当性を担保しているのです。ですので公益性が必要である民主主義国家の行政システムにはマッチングしています。

役人や権力等のパワーが働いた結果多くの不正が行われてきましたが、ブロックチェーンはそれを防ぎます。また行政が扱う膨大な国民のデータがブロックチェーン上で保管されていれば、インターネット上で行われるすべての手続きと同期することが可能になります。

そしてその手続きはすべての履歴が保存されます。これまで人力や書類に頼っていた記録や保管のコストが大幅に削減できます。

エストニアに見るブロックチェーン技術の活用

行政,ブロックチェーン
エストニアは決済と呼ばれるもののほとんどを電子取引で行える、地球上で最もサイバー化が進んでいる国家です。エストニアの電子決済システムには、ブロックチェーン技術を基盤に成り立っているものとそうでないものがあります。

エストニア電子政府の勃興

エストニアは1991年に旧ソ連から独立しました。独立当初から電子立国を目指してインフラの整備が行われ、現在では行政や金融に関わる決済の95%程度がインターネット上のシステムで行われています。

1997年にe-Governanceという戦略が始まり、政府の機能を電子化する取り組みが始まりました。これによって手続きや情報の管理のコストを削減し、国家の競争力と人々の生活が向上するようになるという理想がありました。

当時はまだPCを所持している人もそれほど多いわけではなく、スマートフォンももちろんありませんでしたから、国を電子化するという政策自体がかなりの勇気を必要とするものでした。

そして2001年に、e-Governance化を生活に実際に落とし込むシステムとしてX-Roadが登場します。X-Roadの登場によって国民の情報は分散されたネットワークの集合体として連携され、行政サービス、医療がインターネット上で簡単に行えるようになりました。

X-Road登場後、税金の支払いは95%以上が電子決済で行われ、医療費などの支払いの電子決済も90%を超えています。日本では各種行政サービス利用の手続きの際に、住民票や謄本、印鑑、身分証、手書きの申込書など多くの手間がかかりますが、エストニアにおいてはデータベース上で必要な情報が全て連結されているため、実際に足を運んだり書類を用意する必要がありません。

また選挙も当然電子選挙です。既存の投票所で紙で投票することもまだ可能ですが、電子投票は非常に手軽であり国民の多くが利用しています。

またエストニア国民の10%は海外に居住しており、場所を問わずに投票に参加できるというのもメリットです。この電子投票は、エストニアのIDカードとカードリーダー、PCがあれば可能です。最近ではスマートフォンのSIMカードで認証することもできるようです。

エストニアは民間でも例えば銀行にはほとんど客がいません。国民の95%以上がネットバンキングで取引を済ませてしまうため、店頭に行く必要がありません。

そしてここまでは実はブロックチェーン技術を基盤としていません。導入や移行は進んでいますが、当初はX-Roadにしても中央集権的な管理システムでした。

X-Roadを管理できるのは特定のコアメンバーだけで、匿名性が高い管理方法です。国民の個人情報が集約されているデータベースということで、政府が厳重に管理するというのがこれまでの常識に照らし合わせると理にかなっていたわけです。

2007年にエストニアが受けたサイバー攻撃とは

順調に電子国家の道を歩んでいたエストニアですが、2007年に攻撃者がロシアと言われる大規模サイバー攻撃を受けました。エストニア国内ではソ連からの独立時に取り残されたロシア系住民とエストニア人との民族不和が問題となっていました。

ロシア系住民は毎年5月9日に首都タリンの「青銅の兵士像」前で戦勝記念日を祝うのを習わしとしてきました。この青銅の兵士像は第二次世界大戦の勝利を記念して首都タリンに設置されていましたが、エストニア政府がこの像を郊外の軍事基地に移転することに決定したためロシア系住民が大きく反発します。

2007年の4月27日からサイバー攻撃はスタートし、e-Governanceは5月中旬まで攻撃を受け続けことになります。これによって大手銀行のインターネットバンキングはストップし、人々はパンやミルクも買えないという危機的状況に陥りました。

結局、サイバー攻撃に強力なフィルタリングをかけることでなんとか凌ぎ、エストニア社会を維持するe-Governanceは崩壊の危機を免れました。

もしこの際にe-Governance、X-Roadが致命的なダメージを受けて、データが破壊されたりインターネットインフラが損傷した場合は、国家の存続自体が危ぶまれる状況になったかもしれません。

電子立国の危うさを露呈した事件でした。この事件を経て、エストニアはセキュリティ技術の開発、技術者の育成にさらに力を入れることになります。

2008年にはタリンにNATO認定のサイバーセキュリティ機関「NATOサイバー防衛協力センター」が設立されました。そして、2009年電子取引の世界を大きく変えることになる一つのプロダクトが運用を開始されました。ブロックチェーン技術を機関システムとするビットコインの登場です。

ブロックチェーンがe-Estoniaをより強固なものにする

ビットコインのブロックチェーンの仕組みは前述したようにデータの不正な改ざんや取引を防ぐことができ、かつ分散されたデータのためサイバー攻撃を受けた際でも、ハードフォークを行うことによって攻撃を受ける前の状態に復旧ができるという強みがあります。

エストニアの電子システムにはブロックチェーンの導入が積極的に行われており、e-Estoniaと言われるエストニア国家の電子国家プロジェクトではブロックチェーンの技術が主要なシステムとして用いられています。

エストニア電子国家プロジェクトの目玉がe-Residencyという制度です。これは世界中どこにいてもどこの国籍であっても、エストニアの電子IDを発行するというサービスです。

これを所持することでエストニアの電子住民となり、起業のための登記、エストニアの銀行口座の開設など、エストニア国内の行政サービスを受けることができます。

EU内でビジネスを行うにあたって、エストニアのe-Residencyを利用すれば必要なものを全て揃えられるというメリットがあります。パスポートとクレジットカードがあればインターネットで申し込みができ、後日エストニア大使館で電子IDカードを受け取ることができます。

世界中でエストニア政府正式認定の電子IDを手に入れることができるという制度は起業家にとっては画期的ですし、国境によって区切られた従来の国家の枠組みを超えた電子国家の可能性を感じさせます。

そのためにはインターネット上で保管されるデータの信頼性や取引の正当性が非常に重要になります。エストニアのようなIT技術に大きく頼っているような国では、データの信頼性の欠如は国家の存続自体を揺るがすものになるからです。ブロックチェーンの分散型台帳の仕組みは、その信頼性、正当性を担保することが可能です。

エストニア以外での行政への導入状況は?

行政,ブロックチェーン
それではエストニア以外での行政サービスへのブロックチェーン技術の導入状況はどこまで進んでいるのでしょうか。これまでの社会インフラがしっかりしている国ほど導入に慎重だったり遅れていたりという状況があります。

日本でのブロックチェーン行政

日本政府によるブロックチェーンの行政への落とし込みは現在のところ全く行われておらず、2018年1月にようやく「デジタルガバメント実行計画」が策定されました。

これは国民が行政サービスを利用する上での手続きを全てオンライン化するというデジタルファーストという軸が一つあります。これまで書類に頼っていたものを全て電子化、サービスに必要なデータを水平利用して行くという取り組みです。

もう一つの軸がオープンデータの促進ということで、行政が持っているデータを民間やその他団体が有効活用できるように後悔していくというものです。

まだ取り組み自体は始まっていませんし、日本政府主導でこういった取り組みを行う際によく見受けられる具体性のない上滑り感は今回も満載です。

おそらく日本政府がデジタルガバメントとして成立するには非常に時間がかかるでしょう。せっかくマイナンバーを付与したにも関わらず、デジタル行政上では一向に活用されません。

日本の場合は各自治体の行政インフラ自体は世界の中でも非常にしっかりしており、人や書類に頼ったシステムというのが確立されています。

コスト面やスピード感、時代性を考慮しなければこれまでのやり方を変える必要性を感じられないという側面もあり、現場へのブロックチェーン行政の落とし込みをするには今季強く取り組む必要があります。

インドでのブロックチェーン行政

インドではアドハーという電子IDを国民に発行しています。これはブロックチェーンの技術ではありませんが、政府による電子データ管理事業です。

アドハーでは国民の顔写真、指紋、瞳の虹彩を登録し、登録が完了すると生体認証することでIDとして使用することができます。このアドハーはSIMカードの購入や、オンライン決済など様々な場面で使用することができます。

生体認証だけでなく実際の番号が付与されるため、これまで身分証がなかった人々が行政サービスや金融サービスを利用できるようになり、国民の登録は10億人を超えました。

インドでは特に地方において社会インフラが整っていなかったため、2000年代初頭までは国民の50%が身分証を持っておらず、銀行口座を開設できない人々が非常に多く存在しました。

アドハーに登録することで国や企業から様々な恩恵を受けることができるため人々にとってメリットが大きく、一気に普及したわけです。社会インフラの整備が遅れていたため、新しいテクノロジーの導入がスムーズにいった例です。

インドでは現在田舎の寺への寄付や屋台のチャイ購入でも電子マネーが使用可能なほど電子決済が進んでおり、政府がブロックチェーンの技術開発に積極的な姿勢を示しています。

また南東部のアーンドラ・プラデーシュ州政府は州民のDNA情報をブロックチェーン上で保存するプロジェクトを開始しています。人間の遺伝子情報は莫大のデータ量になるため、ブロックチェーン上に分散して保管することで効率化を目指します。

スウェーデンでのブロックチェーン行政

スウェーデンでは土地の登記にブロックチェーンの仕組みを採用する実証実験が行われています。これまで、スウェーデンは土地の登記や契約には電子署名を使用することは違法とされており、ブロックチェーン技術の導入の障害になっていました。

スウェーデンの土地所有権管理機関ラントメーテリエット、金融機関、政府は連携してブロックチェーン技術を導入するテストを2016年から行っており、早ければ2019年にはブロックチェーン上での土地の取引を開始できるとしています。これまで土地の登記、契約には書類や対人での手続きが必要だったため、ブロックチェーンに置き換わることで年間120億円のコストを削減できるということです。

ジョージアでのブロックチェーン行政

ジョージア(旧グルジア)政府も土地の登記にブロックチェーンを活用するというプロジェクトを開始しています。将来的には土地の売買、住宅ローンにブロックチェーンのスマートコントラクトを使用することも視野に入れて開発が進んでおり、社会インフラ全体にブロックチェーン技術を導入していく姿勢を示しています。

アメリカ合衆国でのブロックチェーン行政

アメリカ合衆国政府はブロックチェーンを行政に取り入れることには比較的慎重です。しかし州単位で見るとデータの保管にブロックチェーンを使用する法案が可決されたり動きがあります。

また行政とは違いますが、NASAなどの国の研究機関や財務省ではブロックチェーンを使った実証実験が盛んに行われています。ウェストヴァージニア州では連邦議会選挙の投票をブロックチェーン技術を活用したアプリから行えるようにすることを検討しています。

中国でのブロックチェーン行政

中国は仮想通貨の取引所の閉鎖、マイニング企業の使用電力の厳しい制限など、仮想通貨に関しては近年厳しい姿勢を示しています。しかし、仮想通貨の根幹をなすブロックチェーン技術に対しては大きな利用価値を感じているようです。

中国の大手IT会社と中国政府は「中国ブロックチェーン・セキュリティー同盟」を設立することを発表しました。中国ではICO詐欺や仮想通貨に関する犯罪被害が激増しており、こういった問題解決の先陣を切る機関としての役割が期待されています。

またテンセントはこの少し前にも深圳市と協力してブロックチェーン技術を利用した脱税対策を行なっていくプロジェクトの発表をしています。

韓国でのブロックチェーン行政

韓国はブロックチェーン、仮想通貨の楽園として第4時産業の法整備をしていくことを明らかにしています。行政への落とし込みとしては南西部の行政区である永登浦区にて、行政企画の正当性や信頼性、透明性を審査するために、ブロックチェーン技術を使用した企画審査システムを導入すると発表しました。

韓国では汚職が社会問題となっており、プロセスの開示やリアルタイムな進捗情報の開示をブロックチェーンに記録して行なっていくことで、行政が適切に運営されるようにとの狙いがあります。

イギリスでのブロックチェーン行政

イギリスでは国立公文書館でのブロックチェーン技術の採用を検討しています。公文書は政治や行政の運営におけるプロセスの確認や過去の事例を探るために重要で、何か不正が発生した際にも正確な公文書が残っていれば、責任の所在や問題が明らかにできます。

例えば日本の森友学園問題で文書の改ざんが問題になっていますが、ブロックチェーン上に一旦保存された後の公文書の改ざんであればバレずに行うことは不可能です。ブロックチェーン上にはそのデータに関する全ての履歴が記録されるため、信頼性が重要な公文書には有効な技術と言えます。

UAEでのブロックチェーン行政

UAEは行政システム全体をブロックチェーン技術を使用して運営していくという非常に積極的な姿勢を示しています。まずはドバイ行政のペーパーレス化から着手し、公文書をブロックチェーン上に保管する取り組みを発表しています。これによって日本円にして約3221億円もの経費削減ができるとされています。

また、ドバイの道路運輸局は車両のライフサイクル管理システムを2020年に運用開始する予定です。これは車が製造される工場からスクラップ工場に廃棄されるまでの履歴を追跡保存する仕組みにで、これによって所有権や販売履歴、事故履歴を追え販売者にも購入者にもメリットがあるとしています。

チュニジアでのブロックチェーン行政

チュニジアでは学校給食の提供システムにブロックチェーン技術を導入する計画が進んでいます。チュニジアでは貧困状態の初等中等教育を受ける学生は、1日1回の新鮮な学校給食を提供されます。

給食の提供は国連の世界食糧計画によって管理されています。チュニジア教育省は今後援助を受けている子供達のうち1500人に対して、ブロックチェーン技術を利用した給食提供の仕組みを実験的に導入します。実験が成功すれば40万人の子供達がブロックチェーンで給食を提供されることになるとしています。

バハマでのブロックチェーン行政

中米のバハマのような小さな島国は、タックスヘイブンとして金融業の税金対策に用いられることが多く、仮想通貨のような金融商品の扱いには積極的な国が多いです。

バハマ政府はブロックチェーンや仮想通貨に歓迎の姿勢を示しており、行政への落とし込みとしては国立研修庁の卒業生への修了証をブロックチェーン技術に基づいて発行計画があります。また、各種免許やパスポート、健康保険証などにも導入計画があるということです。

インドネシアでのブロックチェーン行政

インドネシアは統計情報の集計管理にブロックチェーン技術を活用する姿勢を示しています。インドネシアは離島が多く、これまで正確な住民の情報や農水産物の生産量などを管理することが困難でした。

税務署や銀行、地方行政区などと連動したアプリを使用することによって、コストの削減やミスの軽減につながるとしています。また選挙にブロックチェーン技術を導入することで、度々起こる得票数操作疑惑も払拭できるとしています。

行政の透明性や効率化を促進する

行政,ブロックチェーン
ブロックチェーンは行政の信頼度を高めコストを削減するのに役立つ技術です。既存のインフラが整っている先進国では導入のスピードが遅くなる可能性があるため、いち早く活用に成功した国は急成長する可能性がある分野です。

最終更新日:2018年08月27日

【この記事を書いた女子会メンバー】

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