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UAEがICO導入を決定!イスラム系の仮想通貨系ニュースが増えてきている理由とは

UAEが10月にICOの導入を決定したというニュースが入ってきて依頼、仮想通貨嫌いだったイスラム教が態度をどんどん軟化させてきています。背後に何があるのでしょうか。
目次
UAEがイスラム圏で初のICO導入を決定した理由とは
2018年10月にアラブ首長国連邦(UAE)の証券監督当局が2019年に資本市場向けにICOを導入することを発表したというニュースが入ってきました。
証券監督機関のオバイド・サイフ・アル・ザバイCEOによると、UAE証券・商品委員会(ESCA:Emirates Securities and Commodities Authority)の理事会はICOを有価証券とみなすことを承認し、2019年の前半には規制を導入する予定だということです。
さらにESCAは現在、ICO規制の草案を作成中であり、アブダビとドバイの証券市場と協力して、ICO取引プラットフォームも開発中とのことです。
UAEがICOに本格的に乗り出した理由は、株式市場の弱さと原油価格の低下で新規株式公開(IPO)が上手くいかず、企業の資金調達がなかなか進まないという事情があります。
UAEの規制当局は、企業の資金調達の手段の多様化のための新たな資金調達モデルとしてICOを選んだようです。
そもそもICOとは?
ICOは(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング)の略です。これまでの資金調達方法といえば、IPO(Initial Public Offering:新規株式公開)でした。IPOは証券市場に新規上場し、株式を発行することで資金調達するのが目的です。
しかし、IPOは上場までに煩雑な手続きが必要となり、事業計画や直近決算など用意する書類も膨大な量になります。コストが3,000万円近くかかることもめずらしくありません。
これに引き換え、ICOは資金調達をしたい企業や事業プロジェクトが、自身で仮想通貨を発行・販売し、資金を調達することができます。
ICOは煩雑な手続きをふまなくていいばかりでなく、資金調達のコストを大幅に節約できるため、新しい事業資金調達法として注目されているのです。 中には30秒で3,500万ドルを調達したベンチャー企業もあります。
事業の失敗・詐欺も多いICO
しかし、ICOには問題もあります。ICOはまだ新しく誕生して間もないため、IPOのように厳格な規制整備されていません。
ICOの8割は詐欺だったという報告もあります。詐欺でなくても成功する企業は2%にも満たないといわれています。
しかし規制が未整備であるため、被害者の多くは大切な資産を奪われたにも関わらず、泣き寝入りするケースが後をたちません。
これをうけて、FacebookやTwitterは次々に仮想通貨関連の広告を禁止する措置に踏み出したというニュースが日本にも伝わってきたのは、記憶に新しいところです。
現在は条件つきで一部の仮想通貨関連広告を許可していますが、ICOについてはいまだに解禁にはいたっていません。
日本でも、某大物ミュージシャンが関係した企業がICOを行った後、価格が大暴落したというニュースがありました。うまい話には充分注意しましょう。
ICOについての詳細はこちらをどうぞ!
UAEはなぜICOに積極的なのか
イスラム教は非常に戒律が厳しく、賭博・賭け事を禁止しています。仮想通貨はギャンブル性が高いとして、仮想通貨取引を厳しく禁じているイスラム教国家はたくさんあります。
しかしその一方で、仮想通貨取引所が設立されるなど、そのイスラム教国家が仮想通貨市場に参入するというニュースも次々はいってきています。
イスラム教系金融企業がICOをはじめ、仮想通貨市場に参入するのはどういった理由があるのでしょうか。
イスラム教の金融事情とは
イスラム金融では利子を取るのは違法となっています。ほかにも、不確実性のある商品を売買したり、本源的価値のないものを商品してはいけないなど厳しい戒律があります。
しかし、利子がないと金融業はやっていけませから、イスラム教では独特の金融システムが発展しました。
- 債権=スクーク
- リース=イジャーラ
- ベンチャーキャピタルへの出資=ムダーラバ
いずれも利子ではなく、手数料やリース契約という名目で収益を得る仕組みになっています。このようなやり方はイスラム世界の中でも容認派・否定派・部分的容認派など学派や地域によって大きく意見が分かれています。
しかし1990年代あたりからオイルマネーの恩恵もあって、急激に人口が増えると同時に経済が発達したため、将来有望な投資市場として世界中から注目を浴びるようになりました。
しかし、前述したように、イスラムの金融商品は特殊なものが多く、海外の企業がなかなか参入できないという事情があり、需要があるにもかかわらず、市場規模がなかなか大きくなりませんでした。
とはいえ、2018年5月には海外企業の出資率上限撤廃、投資家に長期滞在ビザを発行するなど海外企業にも積極的に市場を開放するとしたニュースもあるため、海外からの資本の流入はすこしずつ広がってくるでしょう。
仮想通貨取引に寛容になったイスラム教
仮想通貨取引に関しても、最初はかたくなな態度をとり続けていましたが、ここ数ヶ月でだんだん寛容になってきています。
2017年11月末ごろは、トルコやサウジアラビアのイスラム法学者は、ビットコインはイスラム教に反するといった意味の意見を述べています。
ビットコインはイスラム教が禁止しているギャンブル性が高いばかりでなく、価値もはっきりしていないところが違法とみなされたようです。
しかし、最近になって、仮想通貨はイスラム教でも容認できるという論文を、Blossom FinanceのMufti Muhammad Abu Bakar氏が発表しました。
Blossom Financeはアメリカに本社があり、インドネシアのジャカルタに支店があります。彼は論文の中で特定条件下で、ビットコインをはじめとする仮想通貨取引は容認可能であるという意見をのべています。
ヨーロッパやアメリカはじめとした先進国ではビットコインを紙幣や貨幣として仕様できる国が増えてきており、支払い手段として普及してはじめていることなどから、イスラム教でも認められるべきと論じています。
さらに、仮想通貨の基盤であるブロックチェーンは、第三者による改ざんが不可能で参加全員が取引内容を知ることができるという公平性は、既存の銀行や証券会社よりもイスラム教の原則に則っているとも主張しています。
2018年はムスリムの仮想通貨関連企業が続々誕生!
8月にはUAEの仮想通貨企業、ADAB Solutionsが世界初のイスラム法に準じた仮想通貨取引所First Islamic Crypto Exchange(FICE)を開始するというニュースがはいってきました。
9月にはドバイを拠点とするHuulkという仮想通貨交換業者がマルタでライセンスを申請したというニュースも入ってきています。
20近いイスラム圏のフィンテック企業のトークンをリリースする予定であり、マルタでライセンスを取得することでEU圏への進出も視野にいれているようです。
イスラム教圏の国々も今後の経済発展には仮想通貨は欠かせない要素だと理解しているのでしょう。
UAEがきっかけでICOは資金調達のスタンダードになるのか
宗教は時代によって教義の解釈が変わります。例えば、キリスト教も最初は利子をとることは禁止していましたが、今世界経済を牽引している金融業者の大半がキリスト教系の先進国の企業です。
教義の上では問題もあるかもしれませんが、古い教義にしがみついていたら、国の発展が妨げられてしまうことも確かです。イスラム教の教義の解釈に変化が起こっても何の不思議もありません。
今後はUAEを始めほかのイスラム教圏の国もICOや仮想通貨取引に続々と参加してくることが予想されます。
ICOはまだまだ発展途上ですが、これから規制が確立されて安心して投資できる環境ができれば、参入者が増え、企業家と投資家のよい関係が築けるようになってきます。
イスラム教は世界中の人口の23%を占め、富裕層は莫大な資産を持っているます。中でもUAEは富裕層が多くいる、世界経済の面では無視できない存在です。
UAEで世界に先駆けてICO環境が整えば、ほかの国のICO規制確立も促進される可能性があります。2019年は仮想通過のターニングポイントになりそうな事例が多くなる年になるといわれています。
UAEのICO関連のニュースから、当面目が離せなくなりそうですね。
イスラム教の仮想通貨事情についてはこちらの記事もどうぞ!
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